冬の湿気にも負けない薪があるって本当?「含水率」の科学
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「薪はただ燃やすだけだし、どんな薪でも同じでしょ?」
「どんなに乾燥した薪を仕入れても、冬のキャンプ場に置いておけば、結局湿気るんじゃないの?」
そんな疑問をお持ちの施設様も多いかと思います。
確かに、日本の冬、特に山間部は湿度が高く、雪や霜の影響も受けます。
木は呼吸していますから、空気中の水分を吸います。
でも薪の種類によって含水率に差がでること、知ってますか?
薪には針葉樹や広葉樹などの樹種の他に、
乾燥の方法によって「自然乾燥薪」と「人工乾燥薪」に分かれます。
第6回は、少しマニアックですが、
薪の乾燥方法の違いによる「含水率の科学」について解説します。
一般的に流通している薪の多くは、屋外で数ヶ月〜1年ほど干した「自然乾燥」です。
コストがかからないのがメリットですが、冬の管理において大きな弱点があります。
それは、「環境(空気中の湿度)に左右される」という点です。
木材には「平衡含水率(へいこうがんすいりつ)」という性質があり、
周囲の湿度に合わせて水分量が変化します。
冬の屋外(高湿度・低温)では、自然乾燥だけで含水率を20%以下に保つことは非常に難しく、一度乾いた薪でも、保管中に再び湿気を吸って(吸湿して)燃えにくくなってしまうのです。
対して、「人工乾燥」は、専用のボイラー釜を使い、高温で数日間焼き上げます。
科学的な違いは、「細胞レベルの水」の抜け方です。
- 自由水(Free Water): 細胞の隙間にある水。自然乾燥でも抜けます。
- 結合水(Bound Water): 細胞壁の中に入り込んでいる水。自然乾燥ではなかなか抜けません。
人工乾燥は、強制的な熱処理によって、
このしぶとい「結合水」まで徹底的に叩き出します。
だからこそ、芯までカラカラの含水率15%前後を実現できるのです。
ここが一番のポイントです。
「一度、高温で極限まで乾燥させた木材は、再び湿気を吸いにくくなる」
という特性があります。
高温で細胞構造が変化・固定化されるため、仮に冬の屋外に置いたとしても、
自然乾燥の薪に比べて水分の「戻り」が圧倒的に遅く、少ないのです。
つまり、人工乾燥薪は、
「届いた時の乾燥状態を、過酷な環境下でも維持しやすい」
という、冬のキャンプ場にとって心強いスペックを持っています。
この科学的な裏付けは、現場オペレーションにどう影響するでしょうか?
- 天候への耐性: 前日に雪が降っても、屋根の下にあれば品質劣化を最小限に抑えられる。
- 保管期間の長期化: シーズンを通して、安定した品質を提供し続けられる。
- 言い訳不要の品質: お客様に「今日は雨だから火がつきにくいかも」と予防線を張る必要がない。
「たまたま乾いていた」のではなく、
「科学的に乾かされ、その状態を維持する力がある」。
これが、プロの道具としての薪の価値です。
【まとめ】
「薪なんてどれも同じ木だろう」 そう思われがちですが、
その処理方法によって、中身は別物になります。
冬の湿気、雪、霜。 過酷な環境と戦うキャンプ場だからこそ、
「湿気に負けない科学的な処理」が施された薪を武器にしてください。
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